01開催趣旨
好きな本を課題図書にして、
いろいろな人の感想文を読みたい。
この企画はそれだけの理由で始まった、個人主催の読書感想文コンクールです。課題図書の選書基準はただひとつ、「笹木が好きな本」。その結果、ラノベとディストピアと中央銀行総裁の日記とカラマーゾフが同じリストに並びました。統一テーマはありません。あるのは主催者の好みだけです。
だから感想も好きに書いてください。あなたがどの本のどこで立ち止まったのか、それが読みたい。
年1回、年末に開催します。今回が第1回です。
02部門と課題図書
課題図書は八つ。
書くのはひとつ。
応募は各部門一本まで。部門をまたぐのは自由。特別課題図書は別枠でもう一本。つまり最大四本です。欲張りさんの分まで、ちゃんと読みます。シリーズものは第1巻だけ・途中までの読了でも構いません(どこまで読んだかが分かるように書いてください)。
ラノベ部門
Light Novel転生した王様に、戦場の幼女に、歌舞伎町の陽キャ。全員、とんでもない場所に放り込まれて、手持ちのカードで最善手を打とうとします。うまくいったかどうかの判定は、読んだあなたに委ねます。三作ともWeb版がありますが、書籍で改稿されているので書籍版をおすすめします。
『汝、暗君を愛せよ』
病から回復した王は、別人のように聡明になっていた——という転生ものです。ただし無双はしません。やるのは国家運営。予算、外交、人事、信仰。玉座が世界で一番冷たい椅子だと教えてくれる政治小説です。
『幼女戦記』の作者が薦めていたので読みました。正解でした。王に面と向かって「あなたは間違っている」と言う人物が出てきます。理屈で世界を裁こうとして、いろんなところにぶつかりながら成長していくタイプ。私はこういう人間に弱い。カラマーゾフの次男に肩入れする人は、たぶんこの人にもやられます。世界史が好きだった人、組織で役職に就いている人にも。
『幼女戦記』
神を信じない合理主義のサラリーマンが、神を名乗る何かの手で、戦争の世界に幼女として転生させられます。前世の常識で最適解を積み上げるほど、世界は斜め上に転がる。戦記であり、組織小説であり、人間と神様の意地の張り合いの記録です。
この主人公みたいな上司のもとで働きたくありませんか。私は働きたい。そうなれるように毎日勉強しているくらいです。……引きましたか。では追い打ちを。私はこれまで、監視国家で人を尋問する側の男、管理社会を運営する側の人、神を理屈で否定する次男に、片っ端から惚れてきました。初恋は小学3年生、あの魔法学校の話に出てくる鼻のない敵役です。その私が、いま戦場の幼女にメロメロになっている。意味は、最新刊まで読んで確かめに来てください。
『異世界転生勧誘詐欺』
「異世界転生」の正体は、異世界人による地球人の拉致ビジネスだった——という身も蓋もない前提から始まる犯罪コメディ。歌舞伎町の夜の商売人たちが異世界を荒らします。暴力は大いにあり。その上に話術と制度まで味方につけるのが、彼らの流儀です。
学校にいましたよね、陽キャ。あの人たちも異世界転生するんでしょうか。この本の答えは「する。しかも上手にやる」です。彼らは息をするように人を気遣い、努力に慣れていて、自分が伸びるのを楽しめる。教室の隅で問題集を解いていた私は、安全な場所から観察しながら、殴られた気持ちと少し救われた気持ちを同時に味わいました。
ディストピア部門
Dystopiaこわい顔で治める世界と、にこにこしながら治める世界。20世紀の二大ディストピアは、正反対のやり方で同じことをやってのけました。さて、読んだ世界にあなたは住めそうですか。「案外住めるかも」と思ったなら、その理由こそ読ませてください。思想調査はしません。
『一九八四年』
監視カメラと盗聴が日常で、昨日の新聞が今日書き換えられ、言葉そのものが年々減っていく国の話です。主人公の職業は、その書き換えを行う係。ディストピア小説の本家本元ですが、この世界で一番こわい装置は暴力ではありません。辞書です。
「わかりやすく説明できる人こそ、頭がいい」。この主張は真でしょうか、偽でしょうか。私はこの本を読んでから即答できなくなりました。この国の新しい言葉づかいがこわいのは、無茶だからではなく、合理的だからです。巻末付録の言語解説まで読んでから、もう一度どうぞ。ちなみに私の推しは、主人公を尋問する側の男です。理屈がこわいくらい通っている。
『すばらしい新世界』
人間は工場で生産され、生まれる前から階級と適性が決められていて、不満は薬を一錠飲めば消える。そういう世界で、住人たちは本当に幸福に暮らしています。抑圧のディストピアの正反対、「幸福のディストピア」の代表作です。
拷問する独裁者も、密告する隣人も出てきません。みんな親切で、毎日楽しそうです。……正直に言います。私は「こんな世界に早くなってほしい」と思いながら読みました。今が幸せなら、それでよくないですか。引いた人も、うなずいた人も、答えを感想文で聞かせてください。いつかムスタファ・モンドさんの風格を身につけたいもんですね。
実装部門
Implementation一冊は、人類を滅亡させるべきかを七人で討議するフィクション。もう一冊は、独立直後のルワンダで通貨改革をやり遂げた銀行家の記録。会議室と現場、正反対の二冊を同じ部門に押し込んだのはわざとです。「決めること」と「やること」のあいだに何があるのか、見てきてください。
『ただしい人類滅亡計画』
「人類は、このまま存続するべきか」。この一点だけを、立場の違う七人が延々と討議する物語です。哲学対話ですが、専門用語はほぼゼロ。感情論も禁じ手ではありません。そして賛成にも反対にも、最強の代弁者がつきます。
「生まれてこなければよかった」と、一度でも思ったことはありますか。私はあります。長いこと、うっすらと。この本は、その気持ちに初めて誠実な言葉をくれました。読み終えたとき、私は「生まれてこなければよかった」の少し先に進めました。
『ルワンダ中央銀行総裁日記』
1965年、日銀マンだった著者は、独立から3年のルワンダへ中央銀行総裁として派遣されます。前任者は事実上なにもせずに解任済み、空港には建物すらない。そこから通貨を立て直し、財政を立て直し、しまいにはバス会社まで立て直す。60年前のアフリカで実際に行われた経済再建の一部始終を、本人が淡々と記録した本です。
偏屈な人に薦められて読みました。そして今、私が偏屈な顔であなたに薦めています。予算も人手も権限も足りない場所で何かを実際に動かした人には、必ず刺さる箇所があります。「決めること」と「やること」のあいだに何があるのか——その答えが、全部この本に書いてあります。
特別課題図書
Grand Prize Challenge『カラマーゾフの兄弟』
強欲な父親と、性格のまるで違う三人の息子の物語です。物語の途中で父が殺され、裁判になります。ただ、この本の本体は事件ではなく、登場人物たちの語りです。とんでもなく長い語りが、いくつも挟まります。そしてそれが、一番おもしろい。
この一冊だけは、どの部門にも属しません。文庫で数冊分あり、登場人物は一人につき名前を三つ持っています。読み通すだけでも大仕事なのに、狙えるのは大賞のみ。いちばん長い本で、いちばん狭い門です。割に合うかは保証しません。それでも挑む人の感想文を、主催者は一番読みたいと思っています。
白状すると、三回挫折して四回目で読み通しました。挫折の言い訳には全部覚えがあります。その上で言うと、この企画のひそかな目的は初読の感想の青田買いです。研究者の論文はもう山ほどある。普段こういう古典を読まない人の感想が、お腹いっぱい読みたい。続編は存在しません。作者が亡くなったからです。そのことに、私は読み返すたび新鮮に驚き、新鮮に悲しんでいます。ちなみに私は次男の味方です。神を理屈で否定して、自分でそれに耐えきれなくなる人です。
03賞
大賞一名、部門賞六名。
大賞
30,000円分
1名/図書カードNEXTネットギフト
全応募作品(特別課題図書を含む)から選出
部門賞
5,000円分
各部門2名・計6名/図書カードNEXTネットギフト
そして賞とは別に、お手紙が届きます。
受賞の有無にかかわらず、応募してくださった方には短評——というより、あなたの感想へのお返事——を可能な範囲でお送りします。たくさん来たら書ききれないかもしれません。そのときはごめんなさい。
- 大賞受賞作品は部門賞の選考対象から除きます。
- 応募数が少ない部門では、受賞者数を減らす場合があります。
- 賞品(図書カードNEXTネットギフト)はメールで送付します。税務上の処理は受賞者ご自身の責任で行ってください。
04応募規定
応募について
| 字数・言語 | 本文800字以上8,000字以内、日本語。 |
|---|---|
| 応募資格 | 不問(年齢・居住地・プロアマ問わず)。ハンドルネームでの応募可。未成年の方は保護者の同意を得た上でご応募ください。 |
| 応募点数 | 1人につき各部門1作まで。複数部門への応募可。特別課題図書への応募もこれとは別に1作まで可(すべて応募すると最大4作)。 |
| 応募方法 | Googleフォームに本文を貼り付けて送信。収集する情報はペンネーム(発表時に使用)と連絡用メールアドレスのみです。メールアドレスは賞品送付と事務連絡にのみ使用し、企画終了後に削除します。 |
| 作品の条件 | 未発表のオリジナル作品に限ります。他コンクールとの二重応募、既にWeb等で公開した文章の応募はご遠慮ください。 |
| 生成AI | 使用可とします。ただし、使用した場合は応募フォームの記載欄に、どの工程でどう使ったか(例:構成の壁打ち、文章の推敲、下書きの生成など)を記載してください。使用の有無や使い方は選考上の減点対象にはしませんが、記載がないまま使用が判明した場合は選考対象外とします。 |
| 書くときの注意 |
これはOK
「滅亡賛成派の主張に、気づけばうなずいていた。そんな自分が怖い」
自分について書くのは自由です。むしろ一番読みたいところです。
「あの監視国家を、正直ちょっと羨ましいと思ってしまった」
見解は自由。ぎょっとする読みほど歓迎します。
「この主人公にはまったく共感できなかった。理由は三つある」
批判も立派な感想です。賛否は問いません。
これはアウト
「だから、あなたも産むのをやめるべきだ」
「あなたも」が出た瞬間、感想文が勧誘に変わります。
「実在の〇〇のような人たちは、排除されるべきだ」
特定の個人・集団への加害や差別の呼びかけは論外です。
自殺や自傷を勧める・美化して誘う内容
ここは冗談抜きでアウトです。作中の死生観への考察とは区別します。
見分け方はシンプルです。主語が「私」のあいだは自由。「あなたも」と読み手に手を伸ばしたら赤信号。 作品について、自分について書くのは自由です。 |
| 作品の取り扱い |
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| 受賞後のこと |
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| 運営について |
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05審査
笹木という一人の読者に向けて
書く感想文のコンクールです。
審査は主催者(笹木)が単独で行います。外部審査員はいません。重視するのは次の3点です。
1
その本を読んだことが伝わるか
あらすじの要約ではなく、あなたがどこで立ち止まり、何を考えたかが書かれていること。
2
自分の言葉で書かれているか
借り物の評価軸ではなく、あなた自身の読みであること。
3
課題図書と向き合っているか
作品への賛否は問いません。批判的な感想も歓迎します。
06スケジュール
日程
- 2026年10月1日(木)応募受付開始
- 2027年1月3日(日)23:59応募締切(三が日まで。年末年始に書き上げる人を待ちます)
- 締切後笹木の感想文を公開/主催者が単独審査
- 2027年2月下旬結果発表の予定(主催者のnote/Xにて)